モンゴルで安全に乗馬するために必要な知識をまとめました。
乗馬初心者の方でも風のように馬で草原を駆け抜けるために必要な内容をまとめました!
1.乗馬の基本知識
乗馬するにあたっての基礎知識を解説いたします。
乗馬の歴史と文化
モンゴルの乗馬文化について簡単にご説明します。
モンゴルの遊牧民文化

モンゴルは広大な草原が広がる遊牧民文化が特徴であり、馬は遊牧生活の中心的な存在です。
遊牧民たちは馬を乗りこなし、移動手段として利用するだけでなく、牧草地の管理や家畜の飼育、狩猟などにも馬を活用してきました。馬を中心とした生活をしていたわけですね。今では車やバイクがありますので馬がなくても遊牧民は生活できますが、馬は遊牧民にとって誇りの象徴でもあり、とても大切な存在であるパートナーでもあります。
モンゴル帝国とチンギス・カン

モンゴル帝国の創始者であるチンギス・カン(ジンギス・ハン)は、馬の運動能力や戦略的な利用によって大帝国を築き上げました。
チンギス・カンの指導の下、モンゴルの騎馬兵団(モンゴル軍)は馬に乗りながら素早い攻撃を仕掛け、周辺の国々を征服したことは皆さんご存知と思います。
現代モンゴルでのチンギス・カンはモンゴル人にとって偉大な英雄です。内モンゴルでは信仰の対象になっていると感じることもあるぐらいです。
ナーダム

モンゴルで最も重要な祭りであるナーダムは、乗馬競技を含む様々なスポーツや娯楽の祭典です。
ナーダムの乗馬競技では、子どもたちが馬に乗って競馬を行います。子どもが大人になるための神事のような扱いでもあり、10km以上もの距離を人馬一体になって競争します。

ナーダムには地方で開催される予選とモンゴル国が開催する決勝があり、決勝のナーダムで1位になると豪華な景品が出ることも有名です。高級車や家がもらえたりするそうです!まさしくモンゴリアンドリームですね。
モンゴルの馬の品種
モンゴルには固有の馬の品種が存在し、その中でも有名なのは「モウコウマ」と呼ばれる野生馬です。ポニーに分類され、体高は120cmから140cm程度と比較的小さい。 モンゴルに古くから伝わる品種でもあります。
モウコウマは頑丈で生命力があり、過酷な気候や地形に適応した特徴を持っています。
また中東のアラブ馬とモウコウマを掛け合わせて馬体を大きくした馬も存在します。馬体が大きいほど早く走ることができるため、ナーダム競馬では重宝されますね。ただ最近では純粋なモンゴル馬でないと出場できないナーダムも増えてきました。
馬の基本的な解説(体の部位、性格、餌など)

馬の体の部位
- 馬の頭部: 頭は馬の感覚器官が集中している場所であり、耳や目、口があります。
- 馬の首: 首は柔軟で、馬がバランスを取るための重要な役割を果たします。
- 馬の体: 馬の体は背中、脇腹、胸部、腹部などの部位からなり、筋肉が発達しています。
- 馬の四肢: 四肢には前肢と後肢があり、それぞれ肩、腕、腿、脛、蹄などの構造があります。
- 馬の尾: 尾は馬のバランスを取るための役割や、昆虫やハエを追い払うのに使われます。馬頭琴の材料にも使われています。
馬の性格
馬は社会的な動物であり、群れを作って生活します。知性が高く、人間とのコミュニケーションを理解する能力も持っています。
乗り手の感情や気持ちを理解することもできます。乗馬しながら馬と心の対話を行うことはとても心を強くすると思います。私も馬と出会って心が大きくなれた気がしています。
個々の馬には個性があり、性格や行動パターンは馬ごとに異なります。人懐っこい馬、用心深い馬、活発な馬などさまざまです。
馬のたべもの

馬は主に草食動物であり、植物の草や葉を摂取します。モンゴル高原には栄養豊富な草がたくさんあります。
馬の食事には十分な栄養バランスが必要であり、草地の品質や種類、季節によって人の手で餌をあげることもあります。特に冬場は弱りやすいので、小麦をまぜたものを食べさせることもあります。
モンゴルの馬は人の手から草を食べることはあまりありません。人からもらわなくても周囲に草がたくさんあるからですね。
乗馬時の安全に関する注意事項
ここでは一般的な乗馬時の安全と注意事項について解説します。
- 安全な装備の着用
- ヘルメット: 乗馬時には必ずヘルメットを着用しましょう。ヘルメットは頭部を保護し、頭部への怪我を軽減します。
- 適切な靴: 乗馬時には安定性のある靴(乗馬ブーツまたは厚底の靴)を履きましょう。サンダルやハイヒールは避けてください。また鎧に火かかるような甲の高い登山用の靴や、靴底にひかかりがたくさんあるような靴は控えてください。
- 適切な指導とトレーニング
乗馬初心者の場合、乗馬の基本的な技術や安全な取り扱い方を学んでください。モンゴルで初めて乗馬する場合は事前に最低限の知識は把握しておいてください。 - 適切な馬の選択
自分の経験レベルや能力に適した馬を選ぶことが重要です。初心者にはおとなしい性格の馬が適していますので乗馬時に必ず乗馬初心者である旨をお伝えください。 - 馬とのコミュニケーション
馬は感受性が高く、人間とのコミュニケーションを理解します。馬の反応や態度に注意を払い、馬を怒らせるような行動は避けましょう。馬の性格によっても起こるポイントは異なります。遊牧民に自分が乗っている馬の性格や馬が嫌がることなどを聞きましょう。 - 適切な馬具の使用
鞍、手綱、鎧がしっかり装着されているか確認してください。鎧の長さ調整は必ず行いましょう。足の長さに合わせて調整が必要です。短すぎても長すぎてもダメです。初めはわからないと思いますので遊牧民が良いという長さで少し乗ってみて、違和感などあれば乗馬中でも止めて鎧の長さを調整してください。 - 注意すべき体調変化
乗馬前には自身の体調を確認しましょう。体調が悪い場合や怪我をしている場合は、乗馬を控えるべきです。 - 騎乗エリアの安全確認
モンゴルでは大草原を乗馬します。ネズミの穴、落ちているはりがね、杭、舗装道路、ゴミ、飛んでくるビニール袋などに注意してください。 - 緊急事態への対応
馬は生き物のため予測不能な行動をする場合があります。馬の感情や周囲の状況を完全に把握できていれば予測不能な行動をすることはほぼないですが、これらを把握するのは経験が必要です。常に馬が横飛びしたり、走り出したりするかもしれないという危機感を持って乗馬してください。馬が暴走した時の対処方法は以下で解説しています。
-
-
自力で駆け足状態の馬を止めることができるために必要な知識と心構え - ツォクトモンゴル乗馬ツアーblog
爆走ツアーにご参加いただくにあたって条件とさせていただいているのは以下2点です。 爆走ツアーは以下です。 1.乗馬で駆け足の経験があること 日本や海外にて乗馬での駆け足経験があるかということになります
mongol-jyouba-gakkou.com
2.乗馬の基本技術
モンゴルで乗馬いただくにあたって必要な基本的な知識を解説します。
馬に近づく際の注意事項

馬に近づく際には、遊牧民が馬を捕まえて「こっちへ来い」と合図をしているのを確認してから近づきましょう。近づく際には馬の左側から近づきつつ、馬があなたの存在に気づくようにしましょう。
馬には急に近づかず、静かに近づいて馬にストレスを与えないようにしましょう。
ただし今から私があなたの主人になるという意思表示を馬に対してするかのように堂々と振る舞ってください。
馬は乗馬前からどんな人が自分に乗るのかを見極めようとしています。
馬に乗る時
馬の左側に立ちます。手綱か鞍についているサドルを持ち、遊牧民が乗っても良いといった合図をしたらまずは左足を鎧にかけます。
その後、勢いよく鞍の上へ上がって馬を跨いで右足を馬の反対側へ下ろしますが、跨ぐ際に姿勢が高くなりすぎないように注意しましょう。馬にまたがる瞬間が一番無防備な状態です。馬が急な動作をすることで落馬につながる可能性もあるため注意してください。
乗り方の基本姿勢とポジション
- 座り方の姿勢:
- 正しい座り方の姿勢は、バランスと安定性を提供し、馬の動きに対応するために重要です。
- 腰を立て、背中をまっすぐに保ち、重心を均等にかけるようにします。
- 両足は鎧にしっかりと乗せるも深く入れすぎないこと。重心を下に保ちます。かかとに重心をかける感じがベストです。
- 足のポジション:
- 正しい足のポジションは、バランスを保ちつつ馬に適切な指示を出すのに役立ちます。
- 両足を下げて馬の体に密着させ、軽く接触するようにします。ただし、強く蹴ることは避けましょう。
- 鎧に乗せたまま、足首やふくらはぎをリラックスさせることが重要です。
- 手綱の位置と使い方:
- 利き手の片手で手綱を握ります。馬を止める時に強く引けるような持ち方が理想的です。ただし腕が手綱絡まらないように注意してください。
- 正しい手綱の位置は、馬の口への影響を最小限に抑えつつ、馬の動きを制御するのに役立ちます。
- 両手は軽く持ち上げ、手首や肩をリラックスさせます。
- 手綱をしっかりと握りすぎず、馬に対して適度な柔軟性を持たせましょう。馬のハミに対して緊張させすぎず、ゆるすぎずを保ちましょう。馬によって好みの緊張させ具合がありますので乗りながら見極めましょう。
- 手綱の操作方法:
- 手綱を軽く引っ張って馬に指示を出すことで、進行方向の制御や姿勢の調整を行います。
- 前進や停止を指示する場合、手綱を握った手を前方に動かして手綱を軽く引きます。このとき、指示はやさしく、一定の圧力をかける程度にしましょう。
- 方向転換をする場合は両手で手綱を持ち、内側の手(馬の曲がる方向の手)をやや外側に動かし、外側の手で軽く引いて指示を出します。片手のまま方向転換する場合は曲がりたい方向へ手綱を移動させて馬の首をその方向へ向けてください。
- 手綱の動きは、馬に対して明確で一貫性のあるものであることが重要です。ゆっくりとした手の動きや、一定の圧力を保つことが大切です。
- 手の柔軟性と感度:
- 手綱を持つ際には、手の柔軟性と感度が重要です。硬く握らずに、指先の感覚を保ちましょう。
- 手綱をハミに対して緊張させないことが重要です。並足時は緩ませておいてください。速度が上がるにつれて緊張させて行く感じが良いです。
- 乗馬の開始:
- 他の人が全員乗り終わるまでその場で止まっていてください。
- みんなの準備ができたら、ゆっくりと馬を進ませるように指示し、乗馬を開始します。
- 馬の反応に合わせて指示を出し、バランスを保ちながら進みます。
- 基本的には前の馬のお尻についていきましょう。
馬の指示と基本的な動作
馬への指示と基本的な動作について詳しく説明します。
- 前進:
- 前進を指示するには、体重を前よりにして手綱を前へ持っていくと進みます。
- また、脚を使って馬の脇腹に軽くタップすることでも前進の指示ができます。
- 停止:
- 停止を指示するには、背筋を伸ばし、上体を後ろに傾けつつ、手綱を手前に引きましょう。
- 駆け足状態からの停止では全身の力を使って後ろに引っ張ることが必要です。速度に乗った馬は止まらなくなることがあるため、その速度に達する前に停止させることが必要です。
- 方向転換:
- 方向転換をするには、手綱と体重移動の組み合わせを使います。
- 内側の手をやや外側に動かし、外側の手で軽く引くことで、馬に曲がる方向を指示します。
- 同時に体重を内側に寄せることで、馬に方向転換の意図を伝えます。
これらの指示と基本的な動作は、馬とのコミュニケーションを円滑にするための基本です。馬の感受性や反応に合わせて指示を出し、柔軟に対応することが重要です。また、初心者の場合は、日本語ガイドや遊牧民の指示のもとで練習することが安全かつ効果的です。
絶対に避けるべき行動やポイント(危険な動き、馬を怖がらせる行為など)
- 馬を急に驚かせたり怖がらせる行為:
- 突然の大きな音や動作、物をどこかへ投げる、走り回るなど、馬を驚かせるような行為は避けましょう。
- 急に近づいたり手を突き出したりすることも馬を怖がらせる原因となります。
- 背負っているリュックがズレることも馬が驚いてはねる可能性があります。リュックを背負う場合はずれないように体に密着するものにするか、遊牧民に持ってもらいましょう。
- 馬に急な指示や強い力をかける行為:
- 急な引っ張りや蹴り、強い手綱の引き過ぎなど、馬に過度の力をかける行為は避けましょう。ただし馬が駆け足時は強く手綱を引いて止めてください。
- 馬は敏感な生き物であり、適度な指示や力でコミュニケーションを取ることが大切です。
- 馬に無理な動きや負担をかける行為:
- 馬の体への無理な負担や突然の動きはけがの原因となります。
- 騎乗中に急な方向転換を強制することは避け、馬の体力や調子に合わせた動きを行いましょう。駆け足後は馬を止めずにしばらく歩かせてください。
- 馬に対する悪意のある行為:
- 馬に暴力を振るったり、いじめたりすることは絶対にしてはいけません。
- 馬は信頼と安全を求める動物であり、優しさと思いやりを持って接することが大切です。
安全な乗馬のためには、馬の行動や反応に敏感になり、馬とのコミュニケーションを築くことが重要です。また、乗馬中は日本語ガイドや遊牧民の指示に従い、安全な環境で行動しましょう。
3.安全対策
乗馬時の安全対策について記載しました。
ヘルメットの着用の重要性
- 安全確保:
- ヘルメットは頭部を保護するための最も重要な防護具です。乗馬中に起こりうる落馬や転倒時に頭部を保護し、重傷や致命的なケガを軽減する役割を果たします。
- 馬は予測できない行動をすることもあり、意外な状況に遭遇することもあります。ヘルメットの着用により、予期せぬ事故から頭部を守ることができます。
- 頭部への外部からの衝撃軽減:
- ヘルメットは、頭部にかかる外部からの衝撃を吸収し、分散することができます。これにより、直接的な衝撃が頭蓋骨や脳に伝わるのを防ぎます。
- 馬の脚や壁などに頭部をぶつける可能性がある場合、ヘルメットの着用によって頭部への影響を軽減することができます。
- 慣れや技量の差による予防:
- 乗馬は技術や経験を要するスポーツです。初心者や経験の浅い乗馬者は、バランスを崩したり馬の制御を失ったりする可能性があります。
- ヘルメットの着用により、乗馬技術の未熟さや予期せぬ馬の行動による落馬や事故から頭部を保護することができます。
ヘルメットは乗馬中の安全を確保するために不可欠なアイテムです。適切なフィットのヘルメットを使用し、損傷や劣化がないか定期的に確認しましょう。安全な環境で乗馬を楽しむために、常にヘルメットの着用を心がけましょう。
適切な服装と靴の選択

- 服装:
- 上半身: リッジな素材の長袖シャツやポロシャツが適しています。柔らかい素材で動きやすく、快適なフィット感があるものを選びましょう。寒くなることもあるため、フリースやウインドブレーカーなどを着るのも良いです。
- 下半身: ジョッキーパンツや乗馬用のブリーチズが最適です。これらの服は肌に密着し、膝下まで伸びる長さがあります。また、柔らかい素材で足の動きを妨げないものを選びましょう。綿パンなどでも問題ありません。ジーンズは馬が鼻を擦りに来るので控えた方が良いです。
- 注意点: ゆるい服装や長いスカート、フローリータイプのズボンは避けてください。これらは馬に乗る際に引っかかったり、動きを制限する可能性があります。キラキラと派手な色の服装は馬が驚きやすくなるため避けてください。
- ヘルメット
- 無料貸し出し用のヘルメットがございます。
- ヘルメット着用は原則必須になります。
- サイズも複数用意がありますが、合わない場合はご容赦ください。日本からご自分のヘルメットをお持ちいただいても問題ございません。
- プロテクター
- 弊社では用意がございません。必要であればご自身でお持ちください。
- 尚、ガスタイプのプロテクターは作動音により馬が暴れる可能性があり危険です。弊社ではご利用をご遠慮いただいております。
- すねあて
- 乗馬用ブーツではない時にスネを守るためのものです。鎧の鉄のところがスネにあたるのを防ぐためですね。無料で貸し出します。
- スニーカーでも乗馬可能になります。
- 靴:
- 乗馬用ブーツ: 乗馬用ブーツは最も推奨される選択肢です。ブーツは踵が低く、かかと部分がしっかりと固定されているため、足が滑り出しにくくなります。また、安定性と足の保護を提供します。
- 長靴: 乗馬用ブーツがない場合は、長靴も使用できます。ただし、かかとが低く滑りにくいものを選びましょう。また、靴底が滑りにくい素材であることも重要です。
- スニーカーの場合:スニーカーの場合は靴底が平べったいもので、甲の部分が高くないものをご用意ください。あぶみに靴がひっかかると死亡事故につながるため、万が一の落馬時には足が抜けずに引きずられるようなことがないよう、鎧からすっと足が外れるような靴がベストです。このような靴がベストです。https://www.jobayohin.com/?pid=100068350
- 注意点: サンダル、ハイヒールなどは乗馬に適していません。足の安定性が損なわれるだけでなく、足や足首への怪我のリスクが高まります。登山靴などの甲が高い靴や、靴底がごつごつしたものも控えてください。
- ズボン
- ストレッチ性の高くて丈夫なものが良いですが、通常の綿パンで問題ありません。
- ジーンズは避けた方が良いです。馬がジーンズ素材が好きなためか鼻面をすりすり擦り付けてくるのでズボンが鼻水まみれになります。
- その他の注意点:
- アクセサリー: 乗馬中は大きなアクセサリーや首輪、リングなどの装飾品は避けましょう。これらは馬に引っかかる恐れがあり、安全性を損ないます。
- 防護具: 必要に応じて、ヘルメットの他にバックプロテクターや体にフィットするプロテクターを使用することも検討してください。
- リュック:乗馬時の荷物は最小限でお願いしたいですが、もし荷物を携行される場合は、体に密着するリュックで荷物を持ち運んでください。乗馬中にリュックがずれたり音がすると馬が嫌がって跳ねたりすることがあります。重い荷物などは遊牧民に預けていただいて構いませんが、衝撃を受けても壊れない状態にしてください。
乗馬中は動きやすく、安全性を確保するために専用の服装と靴を選ぶことが重要です。また、天候や季節に合わせて適切な服装を選びましょう。乗馬センターや専門店でアドバイスを受けることもおすすめです。
草原での安全な走行のためのルールとマナー
- 他の乗馬者との配慮:
- 他の乗馬者との衝突を避けるために、草原での走行中は常に注意を払いましょう。他の乗馬者に近づくときは、相手に声をかけて通り過ぎる意思を伝えましょう。
- 追い越しをする場合は、安全な距離を保ちながら、相手に合図を送り、ゆっくりと追い抜くことが重要です。相手のペースを乱さないようにしましょう。
- 正しい方向と速度の維持:
- 草原では、指定された方向で走行することが重要です。逆走や迷走を避けるために、常に指示に従いましょう。
- 適切な速度で走行しましょう。高速での走行は、他の乗馬者や馬に驚きや危険をもたらす可能性があります。安全な速度で乗馬することを心がけましょう。
- 適切な距離の保持:
- 他の乗馬者との距離を適切に保ちましょう。馬は他の馬や人に対して反応することがありますので、他の乗馬者との安全な距離を確保することが重要です。
- 必要に応じて、他の乗馬者に声をかけて馬に対する接触を避けましょう。他の乗馬者の馬に近づく際は、特に慎重になりましょう。
- 道の譲り合い:
- 草原では、下り坂や狭い箇所など、通行が困難な場所での道の譲り合いが必要になることがあります。
- 上り坂を登る馬や、他の乗馬者とのすれ違いが難しい場合は、協力的に対応しましょう。指示に従い、安全かつ円滑な通行を心掛けましょう。
- 環境への配慮:
- 草原では、環境への配慮も重要です。ゴミは持ち帰りましょうし、離れる際は自然環境を損なわないようにしましょう。
- モンゴルでのルールや規制に従い、環境保護に協力しましょう。
これらのルールとマナーを守ることで、馬場やトレイルでの安全な走行と他の乗馬者との円滑な共有を実現することができます。常に周囲に注意を払い、マナーを守りながら乗馬を楽しみましょう。
4.緊急事態への対応

馬の予測不能な行動に対する対処法
馬は生き物であり、時に予測できない行動をとることがあります。以下に、馬の予測不能な行動に対する対処法について詳しく説明します。
- 冷静さを保つ:
- 馬が予測できない行動をとった場合でも、冷静さを保つことが重要です。パニックにならず、急いで反応することは避けましょう。冷静な状態で事態を判断し、適切な対処方法を選びましょう。
- 馬の信頼関係を築く:
- 馬との信頼関係を築くことは重要です。正しいトレーニングやコミュニケーションを通じて、馬との絆を深めましょう。馬があなたを信頼し、リーダーシップを感じることで、予測不能な行動にもより柔軟に対応できるようになります。
- 適切な装備の使用:
- 適切な装備の使用も重要です。ヘルメットなどを使用しましょう。これにより、馬のコントロールが容易になり、予測不能な行動にも対応しやすくなります。
- プロフェッショナルな指導者のアドバイスを求める:
- 予測不能な行動に対処するためには、プロフェッショナルな指導者のアドバイスを求めることが重要です。経験豊富なトレーナーやインストラクターから正しい対処法やトレーニングの方法を学びましょう。
- 環境の評価と調整:
- 馬が予測不能な行動を示す場合、環境の要因を評価しましょう。馬がストレスや不安を感じる要因があるかもしれません。環境を適切に調整し、馬にとって安全で快適な状態を整えることが重要です。
- 自己防衛のための知識と技術の向上:
- 自己防衛のためには、乗馬技術や馬の行動に関する知識を向上させることも重要です。安全な乗馬技術や予測不能な行動に対処するための手法を学び、自信を持って乗馬に臨みましょう。
これらの対処法を意識し、予測不能な行動に対処するための準備を整えることで、乗馬中の安全性とコントロール性を高めることができます。しかし、予測不能な行動には常に注意が必要です。安全な環境で乗馬することを心掛けましょう
落馬に至る状況
落馬に至る際によくある事象をご案内します。駆け足時には以下のことに気を配りながら走るようにしてください。
- 馬が穴につまずく
馬が穴ぼこにつまずいた場合、倒れることはありませんがガクッと衝撃がきます。その際にバランスを崩して落馬することがあります。常に衝撃が来る可能性があることを理解してもしもの時に落ちないようにサドルをしっかり持っておくなど準備しておきましょう。 - 横飛びする
馬は障害物やゴミを避けるために駆け足中は横飛びすることがあります。駆け足時は前方の状況をよくみて安全なルートを選んでください。馬が乗り手を信頼している場合は前方が危険であってもそのまま走ることがあります。信頼を損なわないように一緒に相談を走るように心がけてください。 - 前足をあげる
馬は嫌なことがあると前足を挙げて乗り手を振り落とそうとすることがあります。馬の耳が後ろにベターっと寝ている状態は怒っているため注意が必要です。また馬を怒らせた責任を痛感いただいて馬の気持ちを理解することに努めてください。 - 鎧から足が外れる
鎧の長さを適切に調整できていなかったり、体重を足のかかとにかけることができていない場合、駆け足時に鎧から足が外れることがあります。鎧が外れたことに馬が驚いて走り出すこともあります。鎧から足が外れそうな時やはずれたときは速やかに馬を止めてください。周囲が走っていて止めれない場合は声を出して緊急事態であることを伝えて止まるようにしてください。
初心者の間は鎧の長さは短いぐらいがちょうど良いと思います。短いと足が疲れますが・・・ - 車が近づいてくる
車が馬に近づいてきた場合も馬が駆け出してしまう可能性があります。舗装道路を横切るときは周囲に来るがいないことを確認してください。っどうしても車が横を通り過ぎるのを避けれない場合は、馬に車を見せるようにしてください。また車に対して速度を落とすようにジェスチャーで伝えましょう。車に対して大声で話しかけることも、馬に対して「私は車に気づいているから安心だ」という合図を送ることにもなります。 - ゴミが飛んでくる
ビニール袋が転がってくることに驚くことがあります。ビニール袋を避けるように移動して、避けれない場合は馬にビニール袋を見せるようにしましょう。 - 乗馬時・下馬時に馬が走り出す
馬が興奮したり、乗り手を信頼していない場合、乗り降りする瞬間に走り出そうとする馬もいます。乗り手が一番落ちやすいタイミングを馬は知っています。乗り降りする瞬間も注意が必要です。初心者のうちは一人で乗り降りせずに遊牧民が手綱を捕まえてくれるまで待っていてください。
馬の急な動作を防ぐ方法
馬が急な行動をしそうだなと思ったときは、気勢を制するように馬に対して大声を出してみてください。
そうすると馬は落ち着いて急な動作をしなくなることがあります。この場はあくまでも乗り手が支配していることをわからせるようにしましょう。馬が乗り手を信頼していると急な動作をしなくなります。
声の出し方もコツがあります。単純に方向を決めずに声を出すだけでは効果がありません。馬に対して明示的に声を出す必要があります。遊牧民がよく声を出して落ち着かせているので見て学んでください。
落馬しそうな時

体勢が崩れて落馬しそうな時の対処方法を解説します。
- 落馬した方が安全か落馬せず踏ん張った方が安全かを判断する
体勢を崩してどうにもならなくなったときは落馬した方が良いですが、まずは耐えることを目指してください。安易な落馬は馬に対しても落とし癖をつけることになりますし、乗り手も骨折などの怪我をする可能性があります。 - 鎧に足がひかからないようにする
鎧に足がひかかってしまって引きづられることのないようにします。万が一鎧に足がひかかっていた場合は絶対に落馬してはいけません。
鎧に足が絡まったままの落馬=死であることを意識して絶対に落ちないようにしましょう。サドル・馬髪・馬の首など掴まれるところに捕まるようにしてください。
※鎧に足が絡まって落ちてしまった場合
私も一度だけ経験がありますがこれは死ぬ危険性が高くなる状態です。対応方法に正解はありません。私が生還したときの状態を記載します。この方法で助かる保証はありません。他の方法の方が良い場合もあります。
鎧に足が絡まって引きづられた場合、頭が石にぶつからないようにすることが必要です。馬の尻尾を掴みながら頭を持ち上げましょう。頭と体を尻尾を掴みながら持ち上げることで鎧から足が抜ける可能性が高くなります。私は鎧から足を外すことができたので助かりましたが、その後は骨折などでしばらくは大変な状態になりました。 - 落馬しても良い場所であるかを見極める
周囲に岩などがないか確かめてください。後ろから他の馬が来ていない場所を選びます。
落ちる方向はできるだけ斜面側(落ちる距離が短い)で柔らかそうな草原が良いです。頭から落ちずに足や腕から受け身を取りながら落ちれるように準備してください。 - 馬の後ろ足に蹴られないように前か横に落ちる
落馬時に馬から蹴られてしまうと致命傷になる場合があります。蹴られないように馬前方か横に落ちるようにしましょう。片方の鎧を外して反対側へ落ちるのが比較的安全でしょう。一番安全なのは飛び降りながら足で地面に降り立つことです。これであれば怪我はありません。
飛び降りることを馬に知らせることができれば、後ろ足で蹴られることもないですが、その時の信頼関係によります。信頼関係がある場合は乗り手が落馬しそうなときに走り出すことはありません。必ず止まって状態を見ようとするはずです。もちろん、落ちそうになることで馬からの信頼はダダ下がりになったことを理解しましょう。馬にとっても落馬するような人を乗せたくはないのです。 - 手綱は放す
手綱は離してしまって大丈夫です。無理に馬を捕まえておく必要はありません。遊牧民が追いかけて捕まえに行きます。
落馬後
落馬時は後ろから馬が来ている場合はすぐに避けましょう。
安全を確保した後、体の状態を確認してください。基本的には助けが来るまでその場にいた方が良いです。
- 体に問題がなく馬に乗れる場合
馬に乗っても良いです。馬側が乗り手に対して怯えている可能性もあるため、かなり慎重に乗馬する必要があります。しばらくは遊牧民に引き馬してもらうなどの対応をしてもらってください。 - 体が痛く馬に乗れない場合
車が車で待ちましょう。車が来たら旅を続けるのか、ゲルやウランバートルへ戻るのかを判断してください。動けないぐらい痛い場合はウランバートルの病院へ行って診察してもらう必要があります。ただしそれほど設備が整っているわけではありませんので、詳しい診察は日本へ帰国後にされてください。
※乗馬時の落馬や怪我などは弊社では一切の責任を持てません。完全に自己責任となります。診察代金や旅程変更代金は全てお客様負担となりますことをご容赦ください。
グループで乗馬時に落馬した方は、その夜に他のメンバーに対してお酒を奢ることがヨーロッパでは慣例となっているようです。落馬はご自身の体にもダメージがありますが、他の参加者にも迷惑をかけることになりますので極力落馬しないように注意して乗馬してください。
5.最高の乗馬状態である「人馬一体」感とは

抽象的ですが、最後に私が考える最高の乗馬状態について解説します。
最高の乗馬状態は「人馬一体」になった時です。
人馬一体になるとはどういうことかと言いますと、馬との信頼関係が完全に構築された状態です。どんな道もどんな状態であっても馬は動じることなく乗り手を完全に信頼した状態です。乗り手が早く走りたいと思えば馬も一緒に走り出し(ただし乗り手の体は走る体勢へと移行するため馬が気付きます)、馬も走りたいと思えばチラっとこっちを見てくるので、かけ声ひとつで走り出してくれます。乗り手が止まりたくなったらすぐに止まってくれますし(止まるべきところでないところで止まる場合は「どうした?」という目でみられますが)、思った通りの動きをしてくれるようになります。
この状態で草原を駆けることは風になった気持ちで駆けることができます。この馬とであればどこまでも駆け抜けていけそうな気分になれます。チンギスハーンがモンゴルの大草原を出発して世界へ向かって行った時の気持ちが少しわかったような気になります。
乗馬の一番の醍醐味は、人外の存在である馬と高度なコミュニケーションを相互に完成させた先にある喜びにあるのではないでしょうか。
私が初めて人馬一体感を得たのは、ツォクトのところで育てられたバートルという馬でした。最初から素直に走ってくれるすごく良い馬でしたが、3日乗った後に、キャンプ近くの草原を二人(バートルと)で走っている時に訪れました。丘へ向かって駆け上がっていく時に、なんというか完全にお互いの感情を理解できた気がしました。
みなさんも乗馬時に人馬一体になれると良いと思います。モンゴルへ3年連続ぐらいで来られて毎回一週間ぐらい乗馬されることが必要とは思いますが、試してみる価値はあるかもしれませんね。
以上、モンゴル乗馬安全マニュアルでした。
乗馬に関して語りきれていない部分もまだまだあります。モンゴルでは習うより慣れろの乗馬スタイルになります。
こちらをお読みになって乗馬の基礎知識を身につけていただいた状態で、自己責任にはなりますがモンゴルでの乗馬をお楽しみください。
※モンゴルでの乗馬は完全に自己責任になります。あらゆる事故などによる責任を弊社は一切持てないことをご了承いただいた場合のみ乗馬いただくことが可能ですのでご了承ください。