文化・歴史

モンゴルと馬|暮らしに息づく特別な存在と馬具の数々

モンゴルで遊牧民と結婚した小山久子さんによる、モンゴル奮闘記シリーズ。今回は、馬と馬具に関する話。

は、モンゴル人にとって特別な家畜であり、その文化や歴史と切り離して考えることはできない。単なる移動手段や労働力としてだけでなく、自由の象徴であり、魂を分かち合う友でもある。そんな馬と関わるための道具一つひとつにも、実用性を超えた遊牧民の敬意と知恵が込められている。

※本記事の情報は、主に2013年時点のモンゴルのウンドゥルシレット地方の考え方です。

馬を捕える神聖な道具「オールガ」

馬を捕まえるには、オールガ(uurga)と呼ばれる、輪が先に付いた長い棒を用いる。その長さは様々で、1本でまかなえない時は、途中で相互に切り込みを入れ、組み合わせるようにして接いで作ることもある。その場合は、接いだ部分を細い皮でしっかり固定する。

オールガは神聖なものなので、地面に置いてあっても跨いではいけない。輪のついていない方をぐるりと回って向こう側に行く。もし雨が降れば、家の西側のゲルの帯部分に立てかけて置く。

輪は、ノロジカの皮3本を撚って作ったものが良い。しかし、ノロジカの皮を手に入れるのが大変なので、ほとんどの家では綿の少し太めの縄を用いていることが多い。もし細い紐で作ると、馬の首に掛けた時に首を傷つけるので、好まれない。

男性は、オールガを両手で持ちながら馬に乗り、(もちろん、手綱から両手を離して乗る!)目指す馬を追う。その姿は、天晴れと言うしかないぐらい、かっこいいものである。

馬を彩る装具「馬勒」と「鞍」

捕まえた馬の頭に、馬勒(hazaar)とハズナ(nogt、無口頭絡)を付ける。これに手綱や引き綱が付いており、馬に乗る準備となる。銀装飾で飾られたものもあり、ナーダムやお正月には、おしゃれの一環として、使用することが多い。

鞍は、座る部分が木で出来ており、装飾に銀の飾りや縁取りがある。中には、象牙で縁取られているものもある。前後が高くなっているため、モンゴル人のように立ち乗りして馬に乗るのには、最も適している。鞍の後部には、革紐がぶら下がっていることもあり、そこに荷物をぶら下げたり出来る、優れものである。

草原で馬を繋ぎとめる方法

馬を止めておくには、いくつかの方法がある。誰かの家に行けば、縄が張ってあるので、そこに繋いでおくのが一般的である。草原では、前2本と後1本の3本足を固定するチュドゥル(chudhur)、前足2本のみを固定するトシャー(tushaa)、前後2本を固定するウルール(uruul)などといった方法がある。

※最近では柵や鉄塔などに止めておいたり、草原になぜかある杭にゆわえて馬を停めておくことも多い。

執筆本文:小山久子 編集:長岡岳志

スタッフより|馬と生きる遊牧民の文化

モンゴルの遊牧民が使う馬具一つひとつには、実用性だけでなく、馬への深い敬意と暮らしの知恵が息づいています。馬を捕らえる「オールガ」、馬を美しく飾る「鞍」や「馬勒」、そして草原で馬を繋ぐ独特な方法。これら道具の数々が、馬と人がいかに密接に関わり合ってきたかを物語っています。

ツォクトのツアーでは、そんな遊牧民が大切に育てた馬に乗り、彼らの文化や哲学を肌で感じることができます。あなたも、モンゴルの壮大な大地で、馬との特別な絆を体験してみませんか?

▶︎ ツォクトがお届けするツアー一覧をチェック!

📩 お問い合わせ&SNSで最新情報をチェック!

🌍 モンゴル乗馬ツアーの最新情報をInstagramで発信中!

📸 フォローして、リアルな草原体験をチェック!

▶︎ Instagramはこちら

📩 ツアーに関するお問い合わせはこちら

▶︎ 公式LINEで質問する

▶︎ お問い合わせフォーム

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
nagaoka takeshi

nagaoka takeshi

2013年から1年間モンゴルに留学してモンゴル語を習得。出会った遊牧民のツォクトさんのホームページを作ったことが経緯となって、ツォクトモンゴル乗馬ツアーの予約担当をしています。 最高の乗馬ツアーを作るために活動しています。モンゴル・キルギス・カザフスタンでの乗馬ツアーを各国の現地法人で運営しています。

-文化・歴史
-, ,