文化・歴史

モンゴルの草刈り|厳しい冬を越えるための遊牧民の備え

モンゴルで遊牧民と結婚した小山久子さんによる、モンゴル奮闘記シリーズ。今回は、モンゴル遊牧民の草刈りの話。

モンゴルの遊牧民にとって、冬と春は家畜と共に乗り越えなければならない最も厳しい季節です。そのために欠かせないのが、夏の終わりに行われる「草刈り」。これは、冬場の貴重な飼料を確保するための重要な共同作業であり、自然の恵みを最大限に活かす遊牧民の知恵と計画性の表れでもあります。雪害「ゾド」から家畜を守るための、彼らの生命線となる仕事です。

※2013年時点のモンゴルのウンドゥルシレット地方のしきたりです。

冬に備える草刈りの時期と場所

秋を本格的に迎える前の7月から8月に、冬春用の家畜の飼料として、草を刈り準備をする。

草刈りをする場所は、1年おきに刈るのが理想であるが、収穫の良い草地だと毎年刈ってしまうのが現実であり、他に草地としてよい場所が沢山無いのも現実である。

草を刈るにあたって、馬やラクダなどに鎌のついた荷車を引かせて刈るため、なるべく平らな土地が適している。草を刈る時期は、越冬のために家畜を肥やす時期でもある。そのため、草刈りに使う家畜は繋いでおき、なるべく体力を消費させないようにし、栄養も十分に与える。

草の養分が豊富なのが7月と8月の境であるため、その時期を狙って、この作業は行われる。この時期を過ぎると養分は落ちるだけでなく、草が枯れることにより硬くなってしまい、熊手や鎌の刃がこぼれやすくなってしまう。

草刈りの方法

平らではない土地などは、人間が手に熊手を持って刈る。手で刈ると仕事の進みは遅いが、子家畜に適した軟らかい草を見付けるのには適している。この草を少しずつまとめ、家畜に食べられないように木の枝で乾燥させ、湿気を取る。そうすると匂いの強い良い草となり、この草を「ボーズ」と言う。

草刈りをする時には、時間のロスも考え、草地にテントを張り数日間泊り込みで行うのがベストである。こうやって、草を刈るのは男性で、女性や子供は自分たちの仕事の合間をぬって、刈った草を干したり、まとめたりするのを手伝う。

また、ゴビ地方では野生のネギが生えており、それを放牧の際に馬に袋をぶらさげ、摘んで来る。そしてシャルトス(黄色い油)と混ぜて栄養価の高い飼料として保存する。時おり、ゲルを入って左側のところに糸でぶらさげて乾燥させているのを、見ることがある。

厳しい冬を乗り越えるための知恵

この飼料を準備しないと、ゾドと呼ばれる雪害や厳しい春になった場合に、家畜を養いきれない危険性がある。

しかし、ウランバートルに近い草原では自分たちで草を刈ることなく、現金にて購入するのがほとんどである。

※ナライハ地方では9月末や10月にトラックで遠方まで草刈りに出ます。

執筆本文:小山久子 編集:長岡岳志

スタッフより|遊牧民の暮らしの根幹にある、冬への備え

モンゴルの遊牧民にとって、夏の終わりに草を刈る作業は、冬を乗り越えるために不可欠です。地道な作業ですが、家族や地域の人々が協力し、冬という試練に立ち向かう遊牧民の強さと温かさを感じられます。

ツォクトのツアーでは、ホームステイや遊牧民との交流を通して、彼らの暮らしの根幹にある、知恵や営みに触れることができます。

あなたも、彼らの暮らしを支える馬たちと共に、モンゴルの大地を駆け抜けてみませんか?


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nagaoka takeshi

nagaoka takeshi

2013年から1年間モンゴルに留学してモンゴル語を習得。出会った遊牧民のツォクトさんのホームページを作ったことが経緯となって、ツォクトモンゴル乗馬ツアーの予約担当をしています。 最高の乗馬ツアーを作るために活動しています。モンゴル・キルギス・カザフスタンでの乗馬ツアーを各国の現地法人で運営しています。

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